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些細なことだけどすごく気になる

【あらまし】 「花の慶次」の最後付近で莫逆の友直江兼次が迎えにくるのを待っているときの前田慶次郎の背中についている家紋が「丸に揚羽蝶」であるのがちょっと気になった。他の場面で使われている紋などと比較してみる。また岡崎京子作品「くちびるから散弾銃」の旧版と新装版で改変された部分についても比較を行い、その是非について考察する。
【キーワード】 [マンガ][花の慶次][岡崎京子][くちびるから散弾銃]

花の慶次」の最後付近で上杉家を救うために和平の使者となった前田慶次郎は、家康の面前で死に装束&頭を剃って出家という最後の「傾き」を行うわけです。で、その後押し寄せる無数の仕官要請を断り続けるのですけど、その1コマとして描かれたシーンでこのような↓紋のついた服を着てます。

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これは「丸に揚羽蝶」という紋で、また衣裳全体も蝶紋風の模様で覆われてます。単に派手な衣裳ということで描き手に選ばれただけなのかもしれないですけど、少し気になる。

なぜ気になったかというと「丸に揚羽蝶」と前田慶次郎の間に関係はないからです。前田家の家紋は「梅鉢」紋でマンガの中で前田慶次も(果たし合いなどの)公的場面ではこの紋のついた服を着用しています。たとえばこんな↓感じで。

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またこれとは別によく使われる紋様(?)に「ひょっとこ」があります。派手に傾(かぶ)いているときに着用しているような。あるいは敢て「公的ではない」と強調したいであろう折などに。たとえばこんな↓感じで。

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ただ、この「ひょっとこ」に関してはもしかしたら「可観小説」(←ネタ元の一つ)にも何か記述があるのかもしれませんが、それを別にしても必然性はあります。「ひょっとこ斎」と名乗らせるシーン↓などもあるし、物語の最後でも「一夢庵ひょっとこ斎」と名乗っていますから。

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「梅鉢」「ひょっとこ」以外では琉球編で「丸に日の丸」(←?)のような紋様が描かれているコマがありますし、その他「龍の絵」や家紋風の紋様を組み合わせた絵柄なども数種類見られます。

ええと、私は実は「花の慶次」全巻を所有しているわけではないので(←「琉球編」が嫌いなのです)全部を確認したわけではないですけど、はっきり他家の家紋とわかるものを慶次郎が纏っている姿が描かれているのはこの「丸に揚羽蝶」くらいなんじゃないかなあ、と。

なんでなんですかね。特に理由もないかもしれませんけど。

あとですね、ついでなので関連して他の「マンガの中の些細な部分ですごく気になる」ネタについて書きます。

と、いうよりも上で描いた「花の慶次」のネタは「なんでだろう?」程度のものですが、こっちは「なんでやねん!」というレベルです。「くちびるから散弾銃」のネタなんですけどね。以下の二つの画像を見比べてください。

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上が2分冊になっている旧版「くちびるから散弾銃」(←引用は「2」から)のコマで下のものが新装版で1冊になったものからの引用です。どこが違うかわかるでしょうか。

左端のミヤちゃんのセリフが改変されています。御丁寧にルビまでつけて。

こんなマネを「誰がやったのか?」というのはかなり気になるところです。新装版巻末の岡崎先生御本人による「あとがき」を見ると担当編集者は岩淵さんというらしいので「講談社の岩淵さん」が犯人ナリか!このバカチンがーっ!戦力だろ戦力!何が弾力だよ!フザケンナ!と殴り込みたいところなんですけど、うーん、なんか違うっぽい。

岡崎先生御本人が変えるように指示したんじゃないかと思われるフシがあります。「あとがき」にはこう↓書いてあります。


岡崎の希望により1話削除し(『日本晴れならエトランゼ』)、新たに描き下ろし『くちびるから散弾銃'96』と、『随筆・私の東京日記』をくわえたものです。これをもって完本とさせていただきます。(略)それにしても昔のあたしは、ばかでした。うつむいてさしだします。

「ばか」で何がわるいとかーっ!と叫びたい。上記引用箇所で岡崎先生は言及していませんけど「日本晴れなら...」(←ガイジンについて書いてあるから削除されたのだろうか?)以外にも削除されているものはあるんですよ。「K・OKAZAKIのワード・ウォッチング'87〜'89(←「2」だと'89〜'90年)」がそれです。

「このお話のなかに登場する、'87〜'89年(←「2」だと'89〜'90年)のトレンディ・ワードをOKAZAKI流に解説」とあって「放射能汚染食品→今、私たちの食べてるたべものすべて」「おフランス→イヤミが留学して一やく有名になった国。ショエー」「エルメスのスカーフ→もってない」「ポトラッチ→贈与合戦」「シンディ・シャーマン→女性写真家。アーバスもびっくりの孤独な写真を、とる」等々と書いてあります。

どーでもいーことですがイヤミってフランスに留学してましたっけ?旅行しただけでは?あと「ショエー」って。赤塚先生のファンらしいのになあ...。

ま、おそらくこれが削除された原因は「コミケ→いきたくない場所の一つ」「高岡書店→いきたくない場所の一つ」「コスプレ→したくないカッコの一つ。アニメやまんがの主人公のカッコまねるの。カッコワリィ。ダサイ」等々の記述がヤバい勢力(←!)に火をつけそうだからですかね。でも当時はそう思って書いたのならそのままにしておけば良いのに。

というか、このワード・ウォッチングは残して欲しかったなあ。これがないと「くちびるから散弾銃」が書かれたころの空気とかが若い読み手には全然わからないと思うんだけど。

岡崎先生はなんかそういうのをみんな否定したい気持ちだったんだろうか。旧版の装丁をやったらしい八木康夫さんの写真も私は好きなんだけどな。これも新装版ではなくなってしまってます。1巻の写真はこんな↓感じ。うまくスキャンできませんでしたけど。

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当時の流行(?)を反映した良い写真だと思うけどな。でもなんか嫌になったんだね96年頃には。最近村上春樹生原稿流出騒動で話題になったヤスケン(安原顕)氏が仕掛人だったらしいけど、90年代頭あたりのバブルの頃は妙なニューアカブームみたいなのがあって、で、岡崎先生もそれに乗っかって描いてしまっていた感じはあったけど、でもそれは全否定しなくても良いものだったんじゃないのかなあ、とか私は思ってます。

こういう「ばか」は少しも悪いことじゃないよなあ...というか。ま、そんなこと今更言っても仕方ないのですけどね。

そんな感じ。

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