« 須雅屋さんが「はてな」で健在だった件について | Main | 内田式論法ネタの後始末(3) »

奥瀬早紀

火閻魔人シリーズについて書く予定(←またか!)...ええと、書きますかね。ダラダラと。

奥瀬早紀さんは男性ですよね、確か。「低俗霊狩り」が一番有名なのかな。でもこれもなんか中途でヌケがあるままはや十年、って感じですけど。別の人が絵を描いているシリーズで名前から言って微妙なつながりがあるのかもしれんのですが「低俗霊DAYDREAM」というのはあるみたいですけどね。こっちでは「奥瀬サキ」になってますな。というかオリジナルの「低俗霊狩り」でも三巻は「奥瀬サキ」だなあ。DVDとかCDも出ているのか。でも全く見たコトネーヨ。

そんで火閻魔人シリーズなんですけどね、シリーズって言っても単行本二冊だけ。ま、それで言ったら低俗霊狩りシリーズだってオリジナルは単行本三冊だけだしな。

ええと、まずは単行本の出版年と、わかるものは雑誌掲載初出もメモっておくか...。

「低俗霊狩り」奥瀬早紀(白泉社、1987)1986.4〜1987.5「月刊コミコミ」
「低俗霊狩り其の二」奥瀬早紀(白泉社、1989)1988.4〜1988.10「月刊コミコミ」
「低俗霊狩り其の三」奥瀬サキ(白泉社、1993)1992〜1993「ヤングアニマル」

「火閻魔人」奥瀬早紀(白泉社、1987)1986.1〜1987.10「月刊コミコミ」
「支配者の黄昏」奥瀬早紀(新書館、1991)1990.9〜1991.10「WINGS」

初出をみると「火閻魔人」こそが最古の作品に見えます(1986.1)けど、ちょっとそうは言えないのですよ。収録されている一番古い話には、火閻魔人こと主人公の探偵桃瀬津那美は出てきませんしね。あとがきを見ると「幻のデビュー作」と書かれています。

低俗霊狩りも火閻魔人もどっちも悪霊だの鬼だのを退治する人が主人公で、事件を解決していく...というのが基本線になってます。で、この「幻のデビュー作」は人に害をなす鬼が全然退治されないままのオチなので、まあ、アレですよ。アレってなんだよ。

なんでしょうね、この妖魔退治話シリーズっていうのは上記シリーズが書かれるまでにかなり色々先行したものがあったような。マンガだと「孔雀王」とか。「孔雀王」の単行本が出たのが1986年ですね。若干早いか。

あと小説ではもっと前から夢枕獏、菊地秀行といった人たちのものがあったはず。かなりエロ混じりというか思いっきりエロに振れてたと思いますけどね。あ〜、でもそういえば妖魔退治話マンガもなんかエロが混じっているのがデフォのような気も。

で、異論(←というか、オマエはモノをシラネーナ、みたいな)はあるかと思いますが、この手のヤツの小説版で一つの完成形だったのが「吸血鬼(バンパイア)ハンターD」シリーズじゃないですかね。昭和58年刊行...1983年ですかね。あとがきをみると菊地秀行先生がキッチリ「ドラキュラ伯爵対ヴァン・ヘルシング教授」というネタは押さえているのがわかります。


期待の新人がおくる怪奇SFアクション、第2弾。

って書いてある。第1弾は「魔界都市<新宿>」ですね。「期待の新人」て。当時は確かに「期待の新人」だったわけだし、期待通りにいったってことは編集者が慧眼だっただけで別に変じゃないけど、なんか今見るとウケル。

あー、吸血鬼と人間の間に生まれた子どものことを「D」ではダンピールって呼ぶのですけど(DはダンピールのD?そういや「頭文字D」というタイトルも実はインスパイヤ?)、これって一般的にそうなのかな。こちらの解説だとこんな感じ。


◇ダンピール
吸血鬼と人間の間に生まれた子供。類い稀な美貌と圧倒的な戦闘能力をもつが、夜の魔性としての本能を時折目覚めさせるため、人間からは悪鬼として蔑まされ、吸血鬼からは裏切り者とそしられる孤独な存在でもある。

近年のハリウッド映画「ブレイド」なんかもこういう出自の主人公だったような。

というかですね、妖魔でも怪人でも怪獣でもそうなんですけど、人間の手におえない相手と単独で闘って勝っちゃうヒーローってことは、なんつーのかまー、それなりウラが無いとダメってことですよね。二大特撮ヒーローの系譜としては仮面ライダーとウルトラマンがありますよね。で、前者は悪の組織に改造されてしまった身体を持ちつつ、でも洗脳はされていないってことで、そんな望んだわけでもなく手にした力を使って怪人たちと闘うわけですよ。後者は間違って人間を殺してしまった宇宙人が、申し訳ない(←もしかしたら不祥事の隠蔽工作?)ってことで、殺した相手と命を共有するとかいう行為に出て、なんつーのか超人でありつつ人間でもあるような存在になって、超人的な怪獣と闘うわけですよ。

上で例に出した「孔雀王」もなんか拝み屋の孔雀さんは実は...(孔雀明王?悪魔?)みたいなのがあったしね。あ、でもアレかも、人間じゃないというか、半妖怪っぽい存在が妖怪を倒して行くといえば「妖怪人間ベム」とかありましたよね。そういえば毎回冒頭で「はやく人間になりたーい」って言ってたのに彼らは最終回で人間になれることになったのに、そうしなかったんですよね。自分たちが普通の人間になってしまったら誰が妖怪から人間を守るのか?とか言って。そして妖怪人間であることを自ら選択する...主体化するというかムニャムニャ。

ああ、で、更に遡ると「ゲゲゲの鬼太郎」という大御所がいましたな。でも鬼太郎さんは御両親とも妖怪だったはずだから半妖怪なんかではないですね。エリート妖怪だったような。ええと、お父さんがあんな姿なのは死んだのに息子が心配で目玉だけになっても生き残ったのだったか、鬼太郎さんの右目に憑依したのだったか...。ま、どーでもいーか。要するに半妖怪なのはねずみ男さんってことですな。

と、猛烈に火閻魔人と関係ない話になってしまった...。ええとですね、火閻魔人の主人公は「D」風に言うとダンピールらしいのですよ。でも水は平気みたいだったな。で、相手を自然発火させる技を持っていて鬼退治を家業とする一族の人だとか。

この「鬼」ってのがね。鬼ってなんだーっ!っていうか。吸血鬼は吸血「鬼」って書くけど鬼なんか?とか。あと名のある鬼は「ナントカ童子」って言うけどなんで「童子」なんだ?とか。あー、もしかして鬼研究の古典といわれている「鬼の研究」とか読めばわかるのかな。

あー、で、今久々に「低俗霊狩り」を読み返していたのですけど、諸星大二郎の「妖怪ハンター」とか色々影響を受けた作品をあとがきであげてますね。奥瀬さん自身が。「ゲゲゲの鬼太郎ではじまる妖怪退治物の最終形態」として夢枕獏作品の「キマイラ」→「九十九乱蔵」シリーズもあげてるし。

低俗霊狩りでは少女漫画のタッチを入れて差別化をはかったとか。うーん。夢枕獏作品って読んでないからなあ。なんともいえんが。それでもアレですな、「キマイラ」シリーズは体内に幻獣キマイラを飼っている少年が主人公みたいなんで、半妖怪系なんじゃないかと。「九十九乱蔵」は巨人らしいですな。主人公は。身長2mとか。八卦掌の達人か...。爆裂発頸!とかいってたのはこれか。半妖怪と呼ぶのはちょっと無理っぽいか...。これについては保留だな。

ええと、でもですね(汗)低俗霊狩りの主人公は流香魔魅という(貧乳の)女性なわけですよ。別に半妖怪っぽい部分は無いですね。低級霊に好感(?)をもたれやすいってことぐらいで。で、ここのところが新機軸だったんじゃないかな、と。半妖怪が人間のために妖怪を退治する...という構図がここにきて崩されたんじゃないかな、とか思うわけですよ。で、同時期に並行して書かれていた火閻魔人の方は伝統的な半妖怪系の話だったと。鬼ネタに踏み込んでいるところが新しいといえば新しいですけど。あと技で相手を自然発火させるっていうのもあんまりないかな、とか。

あー、で、まとまらないわけですが(←またか!)今回、っつーかこんなのを書き出した直接の動機は「火閻魔人」のあとがきに「2巻でまた会えたらいいなっと!」と書いてあったのにずーっと2巻が出てなかったのですけど、たまたま古本屋で「支配者の黄昏」というのをみつけて立ち読みしたら「火閻魔人」ネタだったので買ってみたということなわけで。

続篇って感じではなかったですけどね。時代も人もかなり変わってしまっていたし。「火閻魔人」と「支配者の黄昏」の間に何か色々あったことは仄めかされるけど、仄めかすだけで放りっぱなしというか。

えー、そんで久々に「低俗霊狩り」を読んでいて、なんというか今更なんですけど、「其の三」のあとがきで奥瀬さんが書いていたネタでよくわからんのがあったのですけど、ちょっとわかったかも。


まあいろいろあったけど オレの気持ちは其の一から三まで表向けて並べてくれれば わかるよーになってます あとは編集者に無言電話かけるなり 奥さんお世話するなり 合法的(?)にやりましょう

ってのだったんですけどね。表紙には流香魔魅らしき人物が着物をきている姿が描かれているだけだし。なんだろう?と思ってたんですよ。アマゾンには表紙画像は無いですね。文庫化されたやつは上下巻になってるしな。

ええとですね、第1巻は指を一本立てているんですよ。舌を出してシーッってやってるみたいな格好で。そんで第2巻ではブイサインをしてます。額のあたりで。ああ、ところが第3巻では口元に下から手をあてているのですけど指が親指以外の四本立ってますね。この画像は文庫版下巻の表紙の枠内にちっちゃく出ていますけど。

うー、つまり其の三は三巻であって三巻ではない、ってことかな。それは実は第4巻だと。確かに第2巻のラストは「自動人形」の途中で終わっているのに第3巻はそれと全く繋がってませんからな。あー、今わかったですよ(←遅すぎ!)。

おっとっと、それともう一言。半妖怪が妖怪を倒す...という話が多用されているのは人が人を殺す(刑事が悪の組織を皆殺しにするとか)話が倫理的に色々問題があるようになってきて、そういう問題を回避する手段として使われているのかな、とかは思います。上で例示した「ブレイド」なんかもどんどん人間と直接関係ない話というか吸血鬼同士の派閥抗争みたいな話になっているようだし。あと、なぜか「パールハーバー」でヒロインやってた女優がどっちにも出ていて同時期に公開された(ただし評価は天地の差)吸血鬼アクション映画の「ヴァン・ヘルシング」と「アンダーワールド」もそんな感じだしな。特に後者では人類は全く蚊帳の外だし。

で、暴力描写に対する倫理的非難を回避するためなのかなあ(特に文句が出なければ人間同士ネタでやりたいのかなあ)、という疑惑が全然出てこない作品として「低俗霊狩り」は評価できるのかな、とか思ったんですけどね。そういう意味では「自動人形」編は作者がどう展開していくつもりだったのかはよくわからんのですけど、「火閻魔人」化してたんじゃないかなあ、とも思ったり。いや、それはそれで面白いのですけど。

あ、それと「目玉のおやじ」で検索してたら目玉のおやじ汁というものを発見。うへ。

|

« 須雅屋さんが「はてな」で健在だった件について | Main | 内田式論法ネタの後始末(3) »

TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference 奥瀬早紀:

« 須雅屋さんが「はてな」で健在だった件について | Main | 内田式論法ネタの後始末(3) »