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「すばる」9月号が実はネット文学特集な件について

なんか認知されてない気がする(笑)。こんな感じなので、まあしかたない気もするけど。


青山南、栩木玲子による対談「ウェブの十年、そしてこれから」。

というのがメイン記事らしい。上でリンクした「すばる文学カフェ」の要約というか概説は必要にして十分というか、内容覚え書きとして秀逸かな。ただ、こんな内容だから読みたい!と思う層はネットとあんまり関係ない層かもしれん。新奇なことは何もなかったし。

さらには、ネットと映画、ネットの中で生まれた日本語、スティーブン・キングとネット、バーチャル・ブック・ツアー、日米の大学でのサイト状況などについて触れ、「ネットの原点はタダ、貧者のツールであるべし」と結ぶ。

ええと、「ネットの中で生まれた日本語」っていうのはなんか2ちゃんねる語みたいなものを指して言ってたと思う。漢字変換ミスとか誤用とかがもとになったとかなんとか。で、そういった「ネットで生まれた日本語」の起源については「教科書には載らないニッポンのインターネットの歴史教科書」を参照したらしい。「変な本」とか言って言及してた。

私史として編纂されたものがなんとなく正史として受容されていく危うさみたいなものを感じなくはないけど、まあ「対談」という形式で語られるものはイイカゲンなところが良いわけだし(←誤解だ!←うるせーばか!)。

ただその他の執筆陣はどうですかね。他の媒体だといつも同じような顔ぶれになる気もするからこれはこれで面白いのかもしれないけど。「小谷真理、中沢明子、長嶋有、仲俣暁生、新元良一、野谷文昭、藤田理麻、モブ・ノリオ、若合春侑」というメンツですね。小谷真理て...。

っていうか「すばる」9月号をチラとでも読んでみたのは例の「篠原一盗作事件」関連で「すばる」8月号を読んだついでに見ただけだしな。そうでもなければ全く気づかなかったかも。っつーか文芸誌の中では「すばる」ってネット関連をかなり頑張っている方なんだね...。

あ、そうそう、そんで「すばる」8月号って実は結構オモロイ号だったんですね。私の興味から言うと中国文学特集なんかが特に。

見所としては9月号と同様にこういうページがあるようですので御参照ください。で、その中でも興味深いのが


衛慧(ウェイフェイ)「たっぷり甘く」は、テレサ・テンのヒット曲と同名の短篇で、映画のシーンを切り取ったような不思議な感覚の作品。中国で急速に発展した中産階級が文化的に欲しているものが村上春樹の世界にはあり、それがブームの背景だと分析。今後は金原ひとみのような若い世代のテイストも浸透してくるだろうと語り、『蛇にピアス』のイギリス版に推薦文を書いたという。

って部分ですかね。彼女の作品は「上海宝貝」とかで日本でも有名(なはず)なので一応私でも知ってるというか読んでる。ま、パクリとは言わないけど、山田詠美のパロディみたいな作風なわけですよ。そういう意味では「すばる」8月号の裏特集はパクリ作(ry

いや、別にバカにしているわけではないんですけどね。ちょっと面白いなあ、とか思ってます。山田詠美は、なんつーのかデビュー当時にワーワー言われた(←ワイドショーとか、クソジジイ作家&評論家とかにね)イメージと違って、まあ、まともに読めばすぐわかることだけど、実は時代錯誤なほど本格派というか正統派な作風なわけですよ。御本人の志向もそういう感じだし。

で、そういう部分はあんまりコピーされてないんですな。ワーワー言われた部分がコピられてる。

村上春樹の受容のされ方もたぶんそんな感じなんじゃないのかな。そんでそういう受容のされ方を浅薄とかバカとかアホとか言うのは簡単だし、プゲラチオと笑って見下すのもまあアリかもしれないけど、でもそういう部分こそが必要とされているのかもな、とか思わなくもない。文学そのもの(←そのものって何?←うるせーばか!)に関係する部分じゃない、多分に政治活動的な意味合いというか次元においてなんだろうけど。

中国文化に根を持つ現在の体制に対して破壊力というか揺さぶりをかける力というのは、いわゆる本格的文化に根ざす何かみたいなものではなくて、その表層を覆う何かというか、なんだろうなあ、上手く言えないけど、バブル期の日本を覆っていた空気みたいな何かなのかな、と思わなくもない。

そういえば村上春樹ブームの絶頂期(←「ノルウェイの森」とか)ってバブルの頃だよね。

あ、あと春樹春樹と言えば、こんな人もいるんだね(笑)。


春樹(チュンシュー)「アタラシイ死」は、初めて遭遇した死が兄のような優しさをくれた若者の死であったことの悲しみを描く。80年代生まれの女性作家・春樹は日本の漫画を見て育った世代であり、日本文化はごく身近な存在。ペンネームは中学生の時につけたものだが、同じ村上でも村上龍の作品の方が好きという。

あー、「龍」だと普通の名前になっちゃってペンネームとして機能しないから、って感じなのかな。まあ、ねえ、で、村上春樹・村上龍・山田詠美のフォロワーはいるんだけど島田雅(ry

ま、まだちゃんと読んでないのでアレだが(←オイオイオイ!)。それにしても金原ひとみの作風というかノリがものすごくアナクロというか昔風(←少なくとも15年から20年くらい)に見えて、私なんかはちょっと不思議というか微妙に微笑んでしまうのだけど、特にそんな感じにも世間(←?)では言われてないですよね。

ただ今回、衛慧が評価しているという記述をみて、ああ、やっぱり古いんじゃね?とか思ったのですけどどうなんでしょうね。バリバリに後期資本主義風味というか。いや違うか。違うな。そうじゃない。ええと、まあ、なんだ、21世紀なんだからもうちょっと捻ってよ!というか(←?)。

っつーか、でもアレだ。3〜4年前に中国関係の専門家と話していて「衛慧が...」とか言ったら「誰それ?」とか言われたのを思い出す。「絵文禄」で日本語訳された中国のニュースに名前が出てくるような先生なのだが。なんとなーく、だけどそういう事実から邪推するとマジで反体制作家 みたいな位置づけ(←公には存在も無視されちゃうような)なのかもしらんなあ、とか思わなくもない。文学的に、というよりもその存在(と作品)は政治的に意味があるんだろう、という見方はかわらんけど、大物ではあるんだろうな。

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