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ネットは民主主義を妨げるという風説

「ネットは新聞を殺すのかblog」で見かけたこのエントリにちょっと絡んでみます。


同じ意見の人の集まる小宇宙が幾つも存在し、インターネットが分断されているのだという。だからインターネットは民主主義を推進するどころか、民主主義の妨げになるのだという。どこかの何とかという人が提唱した説だそうだ(それじゃぜんぜん分かりませんってか。すみません。調べようかと思ったんですけど、なんだかかったるくて・・・。ごめん)。

ええと、最初見たときにハワード・ラインゴールドあたりかと思ってググってみたのですが、どうやらここに出ている「アンドリュー・シャピロのコントロール革命論」っていうのがそうじゃないかと。よく知らんのですけど。

自分で自分がどんな情報を取り入れるかが選べるようになると、自分の興味のあるものしか選ばなくなる。それは情報の洪水に対処するには有効な方法かもしれないが、その行き過ぎは問題だ。(略)コミュニティを掘り崩すものとしてのマスメディアへの批判は多いが、少なくともそれはある共通な経験をもたらしてくれた。オンラインの経験には、この結合力が欠けている。どんどんより狭い分派に分かれていきがちなのだ。他人を攻撃しても安全だし、攻撃されるとさっさと逃げ出すことも容易にできる。
どうなんでしょうね。私はこの手の技術を持たない予想屋(←決めつけだ!)どもの寝言につきあう気は毛頭ないんで、どーでもいーんですが(←ナニサマだ!)。っていうか私はゴリゴリの帝国主義者(←!)なわけだし民主主義なんてどーでもいー・・・というのは冗談ですけど(←前に冗談で「帝国主義者だ」って言ったら留学生に「やっぱり」と言われました・・・ショック!)。

ええと、この「ネットは新聞(略)」の湯川さんについては以前拙ブログ記事で扱ったことがあります。「一般大衆」というコトバで我々非報道機関所属の人間を呼んだことについて「ナニサマ?トノサマ?」と書いてリンクしました。当然こういう好意的ではない扱いのときにはTBしていないのですが、バレた(?)模様。記者ブログの「札幌から(略)」さんあたりと絡んだのでそのあたり経由で御覧になったのかもしれません。

そしてたぶん誰もリアクションしてくれないだろうと思っていた「魚信板」にコメントをいただきました。かなり驚きました。ええと、その中で「気を悪くされたようでしたら、ごめんなさい」とあったのですが、ホントとんでもないです、こちらこそ心無い感じで引用していてすみません。「気を悪くする」というよりもコンスタティブな部分とパフォーマティブな部分があまりに乖離しているのでおもしろかった・・・というのが正直なところです。

「パンが無いならお菓子を食べればいいのに」とマリーアントワネットが言ったとか言われていますけど、彼女は飢えた人々を愚弄したくてこう言ったわけではないですよね。むしろ心から心配して助言したのかもしれない。でも結果的に愚弄してしまったことになって怒らせるわけですよ。それと近いかなと。


発話行為が、発話する身体の行為であるにもかかわらず、自分が何をしているかについてある部分ではつねにまったく無知なために、それが意図していない事柄を語ってしまうことであり、そのため発話行為は、ときに支配や制御の表徴になろうとしても、そうなれないということである。

ジュディス・バトラーがショシャナ・フェルマンの「語る身体のスキャンダル」とかいうのについて語った部分にこんなのがあるんですけど・・・あんま関係ないかも。湯川さんの「一般大衆」もアントワネットの「お菓子を食べれば」もきっと発話者が意図していないものを語ってしまっていたんだと思います。でも意図していないんだから本人には罪はないんでしょうね。

うーん、きっと単に私がこういう部分にばかり目がいってしまうだけなんでしょうね。たとえば「一般大衆」という語が使われたのと同じあたりのこのエントリで湯川さんは


「カトラー:katolerのマーケティング言論」というブログのイカロスの墜落~共同通信ブログ休止の波紋~という書き込みは、すばらしい文章だ。文章を生業とするわたしだが、このようなすばらしい文章を書けるようになりたいと常に願っている。心情的にも共感を覚えるところが多い。

とお書きになっています。でもせっかくのすばらしい文章だというのに私の目は以下のような部分に釘付けになってしまうのです。

イカロスの寓話によって表現されているのは、人間の愚かさではなく、「リスクを取る人間につきまとう悲しみ」だと考えている。その意味でイカロスは、ドンキホーテにも似ている。常に新しいことや、新天地を目指すものたちは、結果、うまく事が運べば喝采されるが、そうでなければ笑いモノになってしまう。しかし、世界は、そうした何人ものイカロスやドンキホーテが存在したことで変革されてきたはずだ。

ドン・キホーテ・・・。このカトラーさんはセルバンテスのドン・キホーテをお読みになったことがあるのだろうか。たぶん無いんじゃないのかな。ここにもそう書いてあるし。若い頃から中世の騎士道小説を読みすぎて現実と空想の区別がつかなくなったボケ老人が近代の現実を己の脳内にある中世世界の空想で上書きしてアレヤコレヤと騒動を起こすという話ですよね?そんでそれが近代批判というか風刺になっているという。イカロスとドン・キホーテを一緒にするのはちょっとどうかと・・・。

ああ、でもこういう風に私が語ることも意図せぬ何か(←イヤミな感じとか?)を醸し出してしまうんでしょうね。色々と難しいものです。

追記:あああ!トラックバックしてから気づきました!先にTBした方が思いっきり「インターネットは民主主義の敵か」という本を紹介してますね(滝のような汗)。

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