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フェミな人やジャーナリズムな人はどうしてウソつくん?名誉の殺人告発本

また朝日か!・・・と思ったら今回は朝日が他人の捏造を報道していただけだった。

名誉の殺人告発本は虚構だそうです。ことの経緯は以下のような感じらしい。


婚前・婚外交渉が疑われた女性を「一族の名誉を守るため」と称して家族の手で殺害する中東、南アジアなどの一部地域の風習「名誉の殺人」を告発し、オーストラリアでベストセラーになった本に創作疑惑が持ち上がり、店頭から引き揚げられる事態になった。

「一族の名誉を守るため」に駆け落ちとかやった連中を抹殺する風習そのものは本当にあるらしいのですけどね。たとえば1999年でパキスタンですけど


Mahmoud and Humaira fell in love and secretly married before fleeing the bride's home in the Punjab. They are now in hiding in the southern city of Karachi, fearing that her family will find them and kill them.

her family will find them and kill them とか言ってますからね。シャレにならんというか。イスラム教の風習なんですかね、知りませんけど。

何も殺さなくたって!やばんねえ!女性を一族の財産かなんかだと思ってるのよ、やーねー・・・という感想はまあ普通に浮かびます。そんで問題なのが


ヨルダンでの被害者数を実際の100倍以上とするなど事実誤認も多く、当のヨルダンで「名誉の殺人」防止に取り組む人たちが抗議の声を上げた。また、「中東やイスラム教への偏見を助長する」などとしてマレーシアなどでは発売が禁止されていた。

という点だとか。そんでシドニー・モーニング・ヘラルドという新聞が疑惑を調査した結果「著者は米国育ちで本に書かれたような経験をしようがなく、本で触れられた事件は全くの虚構だと暴いた」そうで。めでたい。

ちなみにここで話題になっている本はこれみたいです。著者のNorma Khouriっていうのは女性名なんですかね。


Dalia was a young, beautiful, Arab Muslim living with her family in Amman, Jordan. Aged 25, Dalia unexpectedly fell in love with Michael, a young Catholic man and a major in the Royal Army.

とか書いてますね。超ウソクセー設定(笑)。ハリウッド映画の脚本じゃねーんだから(ぷ)。

Norma Khouri's book "Forbidden Love" is a gift to the memory of her life-long friend. A powerful love story that ends in an appalling tragedy, it is also an attempt to bring the world's attention to the plight of thousands of women still subject to inhumane rules in a society where honour killing not only goes completely unpunished, but is allowed and accepted.

なんかこういう感じ・・・告発本とかいうものを読み慣れていないから感じるのかもしれないけどIris Changの例の本とそっくりの空気を感じるんですよね。the plight of thousands of women still subject to inhumane rules in a society とか言って大げさ&一般化みたいにして無駄に情に訴えるというか。

あと朝日の記事のよると「著者は雲隠れしたままだ」そうな。しばらくしたらクルマの中から遺体で発見されるのかな?ま、いいけどさ。そんで例によって気になるのが朝日新聞が著者の性別を全然書いていないところ。せめて名前くらい書いておけば良いじゃんか、と思う。

さて、感想なんですけど一応この件ではヘラルドの記者が検証して嘘を暴いてその功績で賞なんかもらったそうでメデタシではあるんですけど、ジャーナリズム(ぷ)の外の人間からみるとマッチ&ポンプだねえ、という感じです。ウソをついたのもジャーナリスト(ぷ)だし暴いたのも同じ連中ってことで。一年かかって調査している間にベストセラーとなって売れ続けたわけだし、一度形成されたイメージはあとでウソだったと言われても払拭しにくいものだし。同じネタで裏表2倍稼げてよかったね!ってもんです。

あとでバレるとわかってもジャーナリスト(ぷ)が捏造をくりかえすのはやっぱり構造的にそれが儲かるからなんですかね。

事実というのはたぶん当事者以外にはなかなか伝わりにくいというかきちんと正確に伝えようとすればするほど煩雑になって伝えにくい&伝わりにくい、ってところがありますからね。そうなると多くの人が読んで心を動かされるということがなくなってしまうわけで、商売としても運動としてもマズいと。

そんで背景を単純化・図式化したり、登場人物のうち何人かを混ぜて一つの人格にした上で若干極端化・類型化するなどシンプル&センセーショナルな装いに変えた方が受け手には伝わりやすくなるんでしょう。

でもそこまでやったらやっぱり「小説」ってことにしないと駄目ですよね。フォレデリック・フォーサイスが「ジャッカルの日」をなんで小説にしたのかを聞かれて「裏が十分にとれなかったからだ」と言ったらしいのですが、どーだか。ノンフィクションとして書くとツマラン!ということになっただけじゃないのかな、と私などは穿ってしまう。でも著者に力量があるなら「ノンフィクションです!」って言って「創作=小説」だとバレるリスクを負うより「小説です!」って言っておいて「おいおい、これって本当はノンフィクションなんじゃね?」と思われるように書いた方が結果的に得だと思うんですけどね。

次元はちょっと違うけどクリスティヴァの「サムライたち」とかケルアックの「路上」なんかもモデルとなっている人物が明らかなのに違う名前を使っているのはそんなあたりも関係あるのかなあ、と思わなくもなかったり。

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