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ウタダ氏の「2ちゃんねるの時代は終わった」というエントリ

何ヶ月も前の話を今更蒸し返すのもナニですが地球村の事件簿とかいうので扱っているのを見かけたのでちょっとヒトコト語ってみますか。

そんで例によって話の本筋からズレたあたりにチト絡んでみます。


アメリカなどのネットにはリベラル派が多い。韓国でも、インターネットは保守的なマスコミに対抗するメディアと見られている。「ネットの右傾化」は、実際のところ日本の特異現象ともいえるわけだ。何でこうなのかと学者やマスコミが不思議に思うのは当然だろう。

歌田氏がこう語っているのはこの部分をふまえてのことだろうが、私には「当然」とは思えない意見である。

リベラル派とか右傾化とか言った語を歌田氏やその言及先の国際大学GLOCOM研究会のメンツがどう定義しているのか判然としないので厳密な議論はできそうにないけど、それにしてもこうしたウヨ/サヨ観点から「2ちゃんねる」を俎上に載せて「日本の特異現象」だというのはどうだろうか。

これを金仮説・・・じゃなくて(←驚いたよ!「ことえり」がKの国で作られているとは聞いていたけどいきなり「きむ」を「金」と変換するとは!)帰無仮説として提示したというのならわからないでもないけど。

つまり「日本とその他の国々において匿名(性があるかのように装われている種類の)掲示板での発言に対してウヨ度(あるいはサヨ度)を変数として比較を行った場合に有意な差が見いだせる」という帰無仮説を出しておいて分析結果で有意な差異を見いだせない→少なくともウヨとかサヨという変数からは「2ちゃんねる」の特異性は語り得ない・・・とかなるんだったらわかるということなんですけど。

歌田氏は日本にだけ右傾化が見られてそれを「学者やマスコミが不思議に思う」と言っているのだけど、この発言の方がむしろ不思議。ま、マスコミはともかく学者?・・・みんな知ってるくせにこのカタを無視するのはどうかと。「敬遠されるナショナリスト」とか語ってますけど、どうなん?

そんで歌田氏は日本については「2ちゃんねる」と具体名をあげているけど「アメリカのネットにはリベラル派が多い」という「アメリカのネット」の個別具体名はあげていない。このあたりをはっきりして貰わないとなんとも言えないのだが。

匿名(略)掲示板ではないけれどアメリカのブログの政治的立場みたいなものについては先の大統領選挙あたりのことについて「むなぐるま」さんの一連のエントリがあって、たとえばこの不正投票疑惑エントリなどをみるとネットで発言する人たちの属性を単純にリベラルとかウヨク(←っていうかリベラル=サヨクっていうのはどうなの?)とかで語るわけにはいかないように見えるけど。色々な立場で語る人々がいて、それが猛烈な早さで伝播しつつそれと同じようにやはり猛烈な早さで検証されていく場である、としか読み取れないんじゃないかな。

そして歌田氏があげたもう一つの例についてだけどこれは「韓国<では>進歩的に見られている」って話ですよね。なんだか進歩的=リベラル=非ウヨクみたいに彼の脳内類義語でゴチャゴチャにして語っているように見えるしそれらがどこを視点として語られているのかもゴチャゴチャになっているように見えます。

GLOCOMの会議ではこの部分については


韓国におけるインターネットのポジティブな役割と、日本における2ちゃんねるのネガティブな印象はよく比較されます。

と司会者が言っているようなのだが私は寡聞にしてそんな比較がよく行われているとは知らなかった。で、それについてネイバー/ハンゲームCEOの金氏は以下のように答えている。

そうですね、わりと韓国では、日本の2ちゃんねると比べると、韓国のネットを通じた政治的活動は「進歩的」なものとして捉えられているんですね。いままで長く保守的だった政権が変わるという大きな動きに、ネット・モバイルが大統領選挙という側面で役立ったと大きく報じられていますし、事実そう思います。

これは単に政治的活動などに関して極めて不自由というか色々な面で発言が自由ではなかった社会(←日本文化も解禁されていないしね)において比較的自由に発言できる場であった=進歩的であったというだけの話をしているように見える。自由/不自由という尺度でみて自由の度合いが高いこと=進歩的なのだとしたらこの理屈の延長上で「2ちゃんねる」は十分に実社会よりも進歩的であるとは言っても良いのではないだろうか。

そして司会者と金氏が言及しているので歌田氏が「韓国でも(リベラルだ)」というのはネイバーを具体的には指していると推察できる。ネイバーそのものではないけれど例えばネイバーの翻訳掲示板を歌田氏は御覧になったことがあるのだろうか。どっちもどっちな感じで別に韓国の「ネチズン」が相対的にも絶対的にも「進歩的」な人々には見えないけれど。またVANKなんかの「日本海は東海だ!」運動(←朝日風の言い方ではサイバーデモ・・・こんな感じとかこんな感じとか、サヨクの専売特許だけどこれも「進歩的」なわけ?)とかを歌田氏はどう考えているのか聞いてみたい気がします。答えないだろうけど(笑)。

更に諸外国の例として歌田氏は言及してないけど中国も彼の言う通りならかなり進歩的でリベラルなはず(←「ネットの右傾化」は日本だけの特異現象らしいからね!)なんだけどどうなんだろうね。BBCの記事によると中国なんかもZhuhaiでの騒動のときに


A bulletin board carried by the popular Chinese news portal, Sina.com, was flooded with comments, many of them damning in their criticism of the Japanese.
(略)
One contributor said "of course, the Japanese are detestable and worth killing," but questioned whether the Chinese were any better.

とかいう感じでさ、たぶん中では割とマトモなんだろう人(←一応一方的に批判するのもどうか、と言っているからね)でさえ「日本人をぶっころすのはまあ当然なんだが」と語っているわけだけど、どうなのさ。自分たちの発言が後ろめたいので正当化しようとしてなのか知らんけど Japanese people deep in their bones look down on Chinese people とかもいうらしいけど完璧言いがかりだよね。っていうかこの事件とか近年のアレコレで彼らの望み通りlook downする気持ちにはなって来たけどね、正直言ってさ。ま、BBCの人が英語に翻訳してピックアップしたものを見ているだけだからなんともいえないけど。

ま、このままズルズル語っていても読む方も大変だからちょっとまとめますか。うーんとさ、日本のネット状況というのはアメリカのネット状況というのとリンクしているというか強い影響関係にあると私は思っています。ネット発祥の地がアメリカだし、それにかなり初期から日本のネットコミュニティというか技術者たちもそれとかかわり合いを持っていたわけだし。当然全く同質ではないけれども。他に同じような立場にあったのは西欧諸国ですね。

一方韓国とか中国とかはこれと全く異なると思います。中国系アメリカ人とかには少数名前を聞く人もいるけど、まあスッパリ言ってしまうとこれらの国の人たちは超絶後進国なわけですよ、何の貢献もしてこなかったし(←してたらゴメンね)。迷惑はかなりかけているけど。

だから「日本とそれ以外の国(アメリカも韓国も含む)」という軸で比較して「日本が特異」というのはかなり無理があるでしょう、と思う。で、歌田さんがなんでこういう(無理のある)ことを言い出すのか・・・というとその背景には「俺に上書きさせろ!」(←唐突かな?)というそれこそサヨク的心情があるんじゃないのかな。

サヨク・・・あ、カタカナで書いているのには深い意味はまったくないですよ。よく「ライカ」と「らいか」とか「街づくり」と「まちづくり」とか表記して使い分けようとするヒトとかいますけど、そんなヤワな感覚では明治以前の書物は読めないですよ(←読まないだろ普通の人は!)。

むう。脱線したけどサヨクって要するに「自分が存在する以前にあったものは全部ダメ〜!ボクチンが全部決めるのう!ボクチンのいうことだけきけばいいんだお!」っていう考えですよね。だからある共同体を構成する民族とか文化とか歴史とかを全否定したがるわけで。ポルポトとか毛沢東とかスターリンみたいなのが典型的で理想的で大規模な実例なんでしょう。もうちょっと卑近な例(?)でいうと青森県の「アップル市」みたいなネーミングセンスに如実に現れてますね。とにかく共同体の伝統全否定で上書きっつーことで。そんでこういうことは確かにインテリ(ぷ)にしか言えないしやれないからサヨク=インテリというのは間違いともいえないよね。ステキ!

で、ネット共同体(?)にも既存の民族とか文化とか伝統とかがあって(←それらがBSD対LinuxとかC対FORTRANとか日々聖戦を繰り広げているらしい・・・ハッカーズ大辞典とか参照)そういうのがとてつもなく気に入らないんでしょう。そんで揺さぶりをかけたがると。

「2ちゃんねる」が特異で間違った存在ナリ!と歌田さんがGLOCOMの議論にこと寄せて主張するのは「2ちゃんねる」の既存文化が彼の考え(=高遠さんは無辜のヒトなんだお!etc.)と相反していたことに対する感情的かつサヨク的反発なんだと理解すれば十分なんじゃないかな、というのが一応の私の見解です。

一方GLOCOMの方にはそういう「偏り」はないのか?というとそうでもないかも。たとえばGLOCOMの研究会の質疑応答というところで司会者がこう述べています。


情報倫理と題される本はいくつかあり、そのなかでは往々にして、初期のネットを支えた科学者やハッカーのコミュニティは倫理的であって、インターネットが大衆化した結果そのような良きコミュニティが破壊されたという話がなされている。しかし、それはとても後ろ向きな議論ではないか。ハッカー倫理が素晴らしかったとして、その何が普遍化できて何が普遍化できないかを腑分けしないと、単なるエリート主義になってしまう。そこらへんが気にかかっているところです。

見事に私が上で述べたような(サヨク的)心情を語ってませんかね。ハッカー倫理が素晴らしかったと語ることは「後ろ向き」で「エリート主義」だから駄目だそうな。しかもそう主張する根拠は「大衆化したんだからさあ」ってことらしい。

この司会者はこうしてネットがどうのこうのと語る前にはヲタクを同じように語っていた(←語っている?)わけです。そんでちょっと上の引用をもじってみますね。


ヲタクについて語られる場はいくつかあり、そのなかでは往々にして、初期のヲタ文化を支えたヲタクやマニアのコミュニティは探求的であって、ヲタ文化が大衆化した結果そのような良きコミュニティが破壊されて萌えヲタとかいうキモヲタ犯罪者予備軍が増加したという話がなされている。しかし、それはとても後ろ向きな議論ではないか。古参ヲタの知識や分析が素晴らしかったとして、その何が普遍化できて何が普遍化できないかを腑分けしないと、単なるエリート主義になってしまう。そこらへんが気にかかっているところです。

あ〜ヘタクソだな(笑)。彼は以前唐沢俊一さんあたりに(ヲタ文化に関しては)無知無能無学無教養だというような指摘をされ(←今時間がないのであとでこのあたり調べて具体的に提示しますね)なんというかアサマシイからヲタを飯の種に語るな!みたいに攻撃されていたと思います。

それへの反論が大体上に(ヘタクソですけど)私がモジってみたような感じでした。なんとなく今思ったのですがこういう立場というか主張の相違は移民問題(←!)とかそういう点とも関係しそうです。あと文化的価値を単なる「差異の戯れ」と捉えるのかそうではないと考えるのか。サヨクなヒトは「差異の戯れ」と思いたがりますよね。この司会者も歌田氏もそうなんじゃないかと思います。

う〜ん、で、このあたりの話はやはりどうしても長くなってしまう。とりあえず続きは来年ということで・・・(←いいのかそれで!)

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